原文
籠毛與 美籠母乳 布久思毛與 美夫君志持 此岳尓 菜採須兒 家吉閑名 告紗根 虚見津 山跡乃國者 押奈戸手 吾許曽居 師吉名倍手 吾己曽座 我許背齒 告目 家呼毛名雄母
作者
雄略天皇(ゆうりゃくてんのう)
よみ
籠(こ)もよ、み籠持ち、掘串(ふくし)もよ、み掘串持ち、この岳(をか)に菜(な)摘(つ)ます兒(こ)、家聞かな、告(の)らさね、そらみつ大和の国は、おしなべてわれこそ居(を)れ、しきなべてわれこそ座(ま)せ、われにこそは告らめ、家をも名をも
意味
良いかごを持って、良い串を持って、この丘で菜(な)を摘むお嬢さん。君の家はどこかな、教えてくれないかな。私は大和の国を治めているものです。だから私には教えてくれるでしょうね、君の家も君の名前も。
補足
この歌の題詞には「泊瀬朝倉宮(はつせのあさくらのみや)に御宇天皇代(あめのしたしらしめししすめらみことのみよ) [大泊瀬稚武天皇(おおはつせわかたけのすめらみこと)] 天皇の御製歌(おほみうた: お作りになった歌)」とあります。