原文

可加良牟等 可祢弖思理世婆 古之能宇美乃 安里蘇乃奈美母 見世麻之物能乎

作者

大伴家持(おおとものやかもち)

よみ

かからむと、かねて知りせば、越(こし)の海の、荒礒(ありそ)の波も、見せましものを

意味

雨晴海岸 撮影(2009.09) by きょう

こうなると、かねてから知っていたなら、越の海の荒磯(ありそ)に寄せる波を見せてあげたものを。

大伴家持(おおとものやかもち)が、都にいる弟さん、大伴書持(おおとものふみもち)の死を知らされたときに、悲しんで詠んだ歌です。

大伴家持(おおとものやかもち)が赴任していた越中国庁は海が近く、荒礒(ありそ)は、その海岸のことを示しているのでしょうね。

補足

・この歌を含む3957番歌の題詞には、「長逝(ちょうせい:亡くなること)の弟を傷(いた)み哀(かな)しむ歌一首[并(あわ)せて短歌]」とあります。また、この歌の左注には、「右天平十八年(西暦746年)秋九月廿五(25)日、越中守(こしのみちのなかのかみ)大伴宿祢家持(おおとものすくねやかもち)、遥かに弟の喪を聞き、感傷(なかし)んで作る。」とあります。

更新日: 2018年10月14日(日)