第六巻 : ぬばたまの夜霧の立ちておほほしく
2009年02月08日(日)更新 |
原文: 奥山之 磐尓蘿生 恐毛 問賜鴨 念不堪國 作者: 葛井広成(ふじいのひろなり) よみ: 奥山(おくやま)の、岩に苔(こけ)生(む)し、畏(かしこ)くも、問ひたまふかも、思ひあへなくに |
意味: 奥山(おくやま)の岩に苔(こけ)が生えているのは恐れ多いことですが、そのように恐れ多くも歌を詠めとおおせられますか。そう仰せられても困ってしまいます。 |
天平二年(西暦730年)に大伴道足(おおとものみちたり)を大伴旅人(おおとものたびと)の邸宅に招いたときのことです。集まった人々が、駅使(駅に用意された馬を乗り継いでゆく使者のこと)である葛井広成(ふじいのひろなり)に歌を作れといいました。これに応えて、葛井広成(ふじいのひろなり)が詠んだ歌です。 |