原文
咲花乃 色者不易 百石城乃 大宮人叙 立易奚流
作者
田辺福麻呂(たなべのふくまろ)歌集より
よみ
咲く花の、色は変らず、ももしきの、大宮人(おほみやひと)ぞ、たち変りける

意味
咲く花の色は変わっていませんが、大宮人こそ変わってしまいました。
大宮人(おほみやひと)は、朝廷に仕える人のことです。
補足
この歌の直前の長歌(1059番歌)の題詞には、「春の日に、三香原(みかのはら)の荒墟(こうきょ:荒れた跡)を悲しみ傷(いた)んで作る歌、ならびに短歌」とあります。三香原の荒墟とは、恭仁京(くにのみやこ)の廃墟のことを指しています。