(名前のない)花を詠んだ歌 (poems that just say "flower")
万葉集には、名前のない花の歌(単に「花」と詠んでいる歌)がたくさんあります。名前のある花の歌と合わせると非常に多いですね。極端な言い方をすると、万葉集は花の歌を集めた歌集、といってもいいくらいかもしれませんね。
- Manyoshu has a lot of unnamed flower poems(poems that just say "flower"). There are so many poems when combined with named flower poems. We could say that Manyoshu is a collection of poems about flowers.
0016: 冬こもり春さり来れば鳴かずありし鳥も来鳴きぬ.......(長歌)
0036: やすみしし我が大君のきこしめす天の下に.......(長歌)
0038: やすみしし我が大君神ながら神さびせすと.......(長歌)
0167: 天地の初めの時ひさかたの天の河原に.......(長歌)
0196: 飛ぶ鳥の明日香の川の上つ瀬に石橋渡し.......(長歌)
0328: あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり
0466: 我がやどに花ぞ咲きたるそを見れど心もゆかず.......(長歌)
0469: 妹が見しやどに花咲き時は経ぬ我が泣く涙いまだ干なくに
0475: かけまくもあやに畏し言はまくもゆゆしきかも.......(長歌)
0477: あしひきの山さへ光り咲く花の散りぬるごとき我が大君かも
0478: かけまくもあやに畏し我が大君皇子の命の.......(長歌)
0630: 初花の散るべきものを人言の繁きによりてよどむころかも
0804: 世間のすべなきものは年月は流るるごとし.......(長歌)
0923: やすみしし我ご大君の高知らす吉野の宮は.......(長歌)
1050: 現つ神我が大君の天の下八島の内に.......(長歌)
1053: 吾が大君神の命の高知らす布当の宮は.......(長歌)
1059: 三香の原久迩の都は山高み川の瀬清み.......(長歌)
1061: 咲く花の色は変らずももしきの大宮人ぞたち変りける
1117: 島廻すと磯に見し花風吹きて波は寄すとも採らずはやまじ
1306: この山の黄葉が下の花を我れはつはつに見てなほ恋ひにけり
1420: 沫雪かはだれに降ると見るまでに流らへ散るは何の花ぞも
1422: うち靡く春来るらし山の際の遠き木末の咲きゆく見れば
1457: この花の一節のうちは百種の言待ちかねて折らえけらずや
1548: 咲く花もをそろはいとはしおくてなる長き心になほしかずけり
1629: ねもころに物を思へば言はむすべ為むすべもなし.......(長歌)
1683: 妹が手を取りて引き攀ぢふさ手折り我がかざすべく花咲けるかも
1738: しなが鳥安房に継ぎたる梓弓周淮の珠名は.......(長歌)
1807: 鶏が鳴く東の国に古へにありけることと.......(長歌)
1861: 能登川の水底さへに照るまでに御笠の山は咲きにけるかも
1865: うち靡く春さり来らし山の際の遠き木末の咲きゆく見れば
1886: 住吉の里行きしかば春花のいやめづらしき君に逢へるかも
1891: 冬こもり春咲く花を手折り持ち千たびの限り恋ひわたるかも
1893: 出でて見る向ひの岡に本茂く咲きたる花のならずはやまじ
1902: 春の野に霞たなびき咲く花のかくなるまでに逢はぬ君かも
2282: 長き夜を君に恋ひつつ生けらずは咲きて散りにし花ならましを
2785: 咲く花は過ぐる時あれど我が恋ふる心のうちはやむ時もなし
3266: 春されば花咲ををり秋づけば丹のほにもみつ.......(長歌)
3332: 高山と海とこそば山ながらかくもうつしく.......(長歌)
3448: 花散らふこの向つ峰の乎那の峰のひじにつくまで君が代もがも
3885: いとこ汝背の君居り居りて物にい行くとは.......(長歌)
3907: 山背の久迩の都は春されば花咲きををり.......(長歌)
3917: 霍公鳥夜声なつかし網ささば花は過ぐとも離れずか鳴かむ
3963: 世間は数なきものか春花の散りのまがひに死ぬべき思へば
3965: 春の花今は盛りににほふらむ折りてかざさむ手力もがも
3966: 鴬の鳴き散らすらむ春の花いつしか君と手折りかざさむ
3969: 大君の任けのまにまにしなざかる越を治めに.......(長歌)
3982: 春花のうつろふまでに相見ねば月日数みつつ妹待つらむぞ
3985: 射水川い行き廻れる玉櫛笥二上山は.......(長歌)
3991: もののふの八十伴の男の思ふどち心遣らむと.......(長歌)
4153: 漢人も筏浮かべて遊ぶといふ今日ぞ我が背子花かづらせな
4156: あらたまの年行きかはり春されば花のみにほふ.......(長歌)
4160: 天地の遠き初めよ世間は常なきものと.......(長歌)
4166: 時ごとにいやめづらしく八千種に草木花咲き.......(長歌)
4167: 時ごとにいやめづらしく咲く花を折りも折らずも見らくしよしも
4187: 思ふどちますらをのこの木の暗の.......(長歌)
4194: 霍公鳥鳴き渡りぬと告ぐれども我れ聞き継がず花は過ぎつつ
4211: 古にありけるわざのくすばしき事と言ひ継ぐ.......(長歌)
4214: 天地の初めの時ゆうつそみの八十伴の男は.......(長歌)
4254: 蜻蛉島大和の国を天雲に磐舟浮べ.......(長歌)
4255: 秋の花種にあれど色ごとに見し明らむる今日の貴さ
4307: 秋と言へば心ぞ痛きうたて異に花になそへて見まく欲りかも
4314: 八千種に草木を植ゑて時ごとに咲かむ花をし見つつ偲はな
4317: 秋野には今こそ行かめもののふの男女の花にほひ見に
4323: 時々の花は咲けども何すれぞ母とふ花の咲き出来ずけむ
4325: 父母も花にもがもや草枕旅は行くとも捧ごて行かむ
4360: 皇祖の遠き御代にも押し照る難波の国に.......(長歌)
4397: 見わたせば向つ峰の上の花にほひ照りて立てるは愛しき誰が妻
4435: ふふめりし花の初めに来し我れや散りなむ後に都へ行かむ
4452: 娘子らが玉裳裾引くこの庭に秋風吹きて花は散りつつ
4453: 秋風の吹き扱き敷ける花の庭清き月夜に見れど飽かぬかも
4485: 時の花いやめづらしもかくしこそ見し明らめめ秋立つごとに
4501: 八千種の花は移ろふ常盤なる松のさ枝を我れは結ばな