原文
知々波々母 波奈尓母我毛夜 久佐麻久良 多妣波由久等母 佐々己弖由加牟
作者
丈部黒當(はせつかべのくろまさ)
よみ
父母(ちちはは)も、花にもがもや、草枕(くさまくら)、旅は行くとも、捧(ささ)ごて行かむ
意味
父母(ちちはは)も花だったらよいのに。旅を行くとしても、手に持ってゆけるのに。
補足
この歌を含む4321~4394番歌の題詞には、「天平勝寳七歳(西暦755年)乙未(いっぴ)二月、相替(あいかわ)りて筑紫(ちくし)に遣(つか)わされる諸國(しょこく)の防人(さきもり)等の歌」、とあります。
この歌の左注には、「右の一首、佐野郡(さやのこほり:現在の静岡県掛川市のあたり)の丈部黒當」とあります。