原文

勝間田之 池者我知 蓮無 然言君之 鬚無如之

作者

不明(女性)

よみ

勝間田(かつまた)の 池は我れ知る 蓮(はちす)なし しか言ふ君が 鬚(ひげ)なきごとし

意味

蓮(2022.07) by きょう

勝間田(かつまた)の池は、私も知っています。蓮(はす)はありませんよ。そのようにおっしゃるあなた様にひげがないのと同じように。

・新田部皇子(にいたべのみこ)が勝間田(かつまた)の池をご覧になったときにとても感動されたことをある婦人に話されたときに、その婦人が戯(たわむ)れに詠んだ歌ということです。

- rough meaning: I know a lot about the pond of Katsumata. There are no lotuses just as you have no beard.(In this poem, a woman made fun of Prince Niitabe who was very impressed to see the beautiful lotus pond in Katsumata.)

補足

蓮(2022.07) by きょう

この歌の題詞には、「新田部親王(にひたべのみこ)に獻(たてまつ)る歌一首」とあります。

また、この歌の左注には、「右、或人(あるひと)有り。聞きて曰(いわ)く。 新田部親王(にひたべのみこ)堵裏(みやこのうち)に出遊(いでま)す。勝間田之池(かつまたのいけ)を御見(みそこなは)し、御心(みこころ)の中に感緒(め)づ。その池より還(かえ)りて、怜愛(れんあい)にしのびず。 ここに婦人に語りて曰く、 『今日、遊行(い)でて勝間田の池を見るに、 水影涛々(すいえいとうとう)に蓮花(れんか)灼々(しゃくしゃく)なり。 ■(忄+可)怜(おもしろ)きこと腸(はらわた)を断ち、得て言ふべからず。』といふ。 すなはち婦人、此の戯歌を作り、專(もは)ら吟詠(ぎんえい)すなり」とあります。

更新日: 2022年07月10日(日)