万葉集: 九九(くく)

2009年10月18日(日)更新

二二が四、二三が六、というあれです。でも、どうして九九というのかなぁ、と疑問に思ったことはありませんか。奈良時代の木簡に九九の練習をしたものがあるですが、最初に九九 八十一と書かれているのですよ。昔は、九九から始まっていたようですね。
たとえば、奈良文化財研究所 木簡データベース の検索ページを参照してください。

万葉集には、九九を洒落(しゃれ)て表現している歌がいくつかあります。たとえば、「十六」と書いて「しし」と読ませます。これは、「四四(しし)、十六」ということですね。他には「八十一」、と書いて「くく」と読ませる例があります。


0239 : やすみしし我が大君高照らす我が日の御子の馬並めて.......(長歌)
→ 「獣(しし)こそば」という個所が、原文では「十六社者」と書かれています。

0789 : 心ぐく思ほゆるかも春霞たなびく時に言の通へば
→ 「心ぐく」という個所が、原文では「情八十一」と書かれています。

1495 : あしひきの木の間立ち潜く霍公鳥かく聞きそめて後恋ひむかも
→ 「木の間立ち潜く(くく)」という個所が、原文では「許乃間立八十一」と書かれています。

2542 : 若草の新手枕をまきそめて夜をや隔てむ憎くあらなくに
→ 「憎くあらなくに」という個所が、原文では「二八十一不在國」と書かれています。これなんかは、特に面白いですね。


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