原文

八隅知之 吾大王 高光 吾日乃皇子乃 馬並而 三猟立流 弱薦乎 猟路乃小野尓 十六社者 伊波比拝目 鶉己曽 伊波比廻礼 四時自物 伊波比拝 鶉成 伊波比毛等保理 恐等 仕奉而 久堅乃 天見如久 真十鏡 仰而雖見 春草之 益目頬四寸 吾於富吉美可聞

作者

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

よみ

やすみししわが大君、高照らすわが日の皇子の、馬(うま)並(な)めて、み狩り立たせる、若薦(わかこも)を、狩路の小野に、獣(しし)こそば、い匍(は)ひ拝め、鶉(うづら)こそい匍(は)ひ廻れ、獣(しし)じもの、い匍(は)ひ拝み、鶉(うづら)なす、い匍(は)ひ廻り畏(かしこ)みと、仕へまつりて、ひさかたの天見るごとく、まそ鏡仰ぎて見れど、春草のいやめづらしき、わが大君かも

意味

柿本人麻呂像 撮影 by きょう

大君(おほきみ)が馬(うま)を並べて、狩りにいらっしゃるこの小野に、獣(鹿や猪)までが体を低くして皇子のことを拝み、鶉(うづら)までが拝んでいます。その獣たちや鶉(うづら)のように畏れ多いと拝み仕えて、天を仰ぐように仰ぎ見ても、愛らしい春草のように、ますます尊ぶべき皇子さまでいらっしゃいます。

・ここでの「大君(おほきみ)」は長皇子(ながのみこ)のことで、長皇子が狩りにお出かけになったときに、柿本人麻呂が皇子をたたえて詠んだ歌です。

- rough meaning: In this field, where our Prince line up horses and hunt, the beasts (deer and wild boars) even the Uzura(Japanese quail) lower their bodies to worship the Prince. Like the beasts, when we look up you like heaven as we are in awe, we see more and more honorable Prince, like adorable spring grasses.

補足

16=4×4で、十六をしし(四四)と読みます。もう、この頃は九九があったのです。を練習したと見られる奈良時代の木簡も出土していますね。

更新日: 2020年08月02日(日)