隈(くま)
「隈(くま)」というのは、「端(はし)っこ」とか「境目(さかいめ)」とかいう意味です。「目に隈ができる」という言葉は、目の近くに(黒い)すじ・縁取りみたいなものができる、という意味ですよね。
隈(くま)を詠んだ歌
万葉集の歌の中では、つぎのような言葉が出てきます。
- 道の隈,道の隈廻(くまみ) : 道の曲がり角
- 隈もおちず : (道の)かどかどに
- 川隈(かわくま)の : 川の流れのかど
- 八十隈(やそくま) : たくさんのかどかど
0017: 味酒三輪の山あをによし奈良の山の.......(長歌)
0025: み吉野の耳我の嶺に時なくぞ雪は降りける.......(長歌)
0115: 後れ居て恋ひつつあらずは追ひ及かむ道の隈廻に標結へ我が背
0131: 石見の海角の浦廻を浦なしと人こそ見らめ.......(長歌)
0138: 石見の海津の浦をなみ浦なしと人こそ見らめ.......(長歌)
0175: 夢にだに見ずありしものをおほほしく宮出もするかさ桧の隈廻を
0427: 百足らず八十隈坂に手向けせば過ぎにし人にけだし逢はむかも
0886: うちひさす宮へ上るとたらちしや母が手離れ.......(長歌)
0942: あぢさはふ妹が目離れて敷栲の枕もまかず.......(長歌)
1109: さ桧の隈桧隈川の瀬を早み君が手取らば言寄せむかも
2837: み吉野の水隈が菅を編まなくに刈りのみ刈りて乱りてむとや
3097: さ桧隈桧隈川に馬留め馬に水飼へ我れ外に見む
3240: 大君の命畏み見れど飽かぬ奈良山越えて.......(長歌)
3790: あしひきの玉縵の子今日のごといづれの隈を見つつ来にけむ
3828: 香塗れる塔にな寄りそ川隈の屎鮒食めるいたき女奴
4349: 百隈の道は来にしをまたさらに八十島過ぎて別れか行かむ
4357: 葦垣の隈処に立ちて我妹子が袖もしほほに泣きしぞ思はゆ
補足
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