2001年12月2日(日)更新 |
「な〜そ」は、「〜しないでください」という意味です。どちらかというと、ちょっと柔らかな感じの禁止を表します。 万葉集には「なのりそ」というパターンがよく出てきます。これは、「なのりそ(今のホンダワラ)」という海藻(かいそう)と、「名乗ってはいけないですよ」という意味の「な告(の)りそ」との掛け言葉になっています。 |
・0239 : 秋山に落つる黄葉しましくはな散り乱ひそ妹があたり見む ・0153 : 鯨魚取り近江の海を沖放けて漕ぎ来る船辺付きて漕ぎ来る船沖つ櫂....... ・0172 : 嶋の宮上の池なる放ち鳥荒びな行きそ君座さずとも ・0180 : み立たしの島をも家と棲む鳥も荒びな行きそ年かはるまで ・0203 : 降る雪はあはにな降りそ吉隠の猪養の岡の塞なさまくに ・0233 : 高円の野辺の秋萩な散りそね君が形見に見つつ偲はむ ・0263 : 馬ないたく打ちてな行きそ日ならべて見ても我が行く志賀にあらなくに ・0299 : 奥山の菅の葉しのぎ降る雪の消なば惜しけむ雨な降りそね ・0362 : みさご居る磯廻に生ふるなのりその名は告らしてよ親は知るとも ・0363 : みさご居る荒磯に生ふるなのりそのよし名は告らせ親は知るとも ・0374 : 雨降らば着むと思へる笠の山人にな着せそ濡れは漬つとも ・1167 : あさりすと礒に我が見しなのりそをいづれの島の海人か刈りけむ ・1279 : 梓弓引津の辺なるなのりその花摘むまでに逢はずあらめやもなのりその花 ・1290 : 海の底沖つ玉藻のなのりその花妹と我れとここにしありとなのりその花 ・1395 : 沖つ波寄する荒礒のなのりそは心のうちに障みとなれり ・1396 : 紫の名高の浦のなのりその礒に靡かむ時待つ我れを ・1930 : 梓弓引津の辺なるなのりその花咲くまでに逢はぬ君かも ・2816 : うらぶれて物な思ひそ天雲のたゆたふ心我が思はなくに ・3076 : 住吉の敷津の浦のなのりその名は告りてしを逢はなくも怪し ・3177 : 志賀の海人の礒に刈り干すなのりその名は告りてしを何か逢ひかたき |