第十三巻 : みてぐらを奈良より出でて水蓼穂積に至り

2001年10月21日(日)更新


原文: 帛■ 楢従出而 水蓼 穂積至 鳥網張 坂手乎過 石走 甘南備山丹 朝宮 仕奉而 吉野部登 入座見者 古所念

作者: 不明

よみ: みてぐらを、奈良より出でて、水蓼(みづたで)、穂積(ほづみ)に至り、鳥網(となみ)張る、坂手(さかて)を過ぎ、石(いわ)走る、神なび山に、朝宮(あさみや)に、仕(つか)へ奉(まつ)りて、吉野へと、入ります見れば、古(いにしへ)思ほゆ

意味: 奈良を出て、穂積(ほづみ)に至って、坂手(さかて)を過ぎて、神なび山の朝宮(あさみや)をお奉りし、吉野に入っていらっしゃるのを見ると、昔の事を思い起こします。

撮影(2001.9) by きょう

「奈良」「吉野」はもちろんですが、「穂積(ほづみ)」「坂手(さかて)」「神なび山」も奈良の地名です。それぞれの地名の前の句は、枕詞とみられています。

水蓼(みづたで)は、水辺に生えるタデ科の多年草のことです。

「古(いにしへ)」は、吉野によく出かけられた皇族の人を想い起こすのでしょう。持統天皇(じとうてんのう)のことかもしれませんね。。


第十三巻