第十三巻 : 百足らず山田の道を波雲の
2010年01月03日(日)更新 |
原文: 百不足 山田道乎 浪雲乃 愛妻跡 不語 別之来者 速川之 徃文不知 衣袂笶 反裳不知 馬自物 立而爪衝 為須部乃 田付乎白粉 物部乃 八十乃心■ 天地二 念足橋 玉相者 君来益八跡 吾嗟 八尺之嗟 玉桙乃 道来人乃 立留 何常問者 答遣 田付乎不知 散釣相 君名日者 色出 人可知 足日木能 山従出 月待跡 人者云而 君待吾乎 作者: 不明 よみ: 百(もも)足(た)らず、山田の道を、波雲(なみくも)の、愛(うつく)し妻(つま)と、語(かた)らはず、別(わか)れし来(く)れば、早川(はやかは)の、行(ゆ)きも知らず、衣手(ころもで)の、帰(かへ)りも知らず、馬(うま)じもの、立ちてつまづき、為(せ)むすべの、たづきを知らに、もののふの、八十(やそ)の心を、天地(あめつち)に、思(おも)ひ足(た)らはし 魂(たま)合(あ)はば 君(きみ)来(き)ますやと 我(わ)が嘆(なげ)く 八尺(やさか)の嘆(なげ)き 玉桙(たまほこ)の 道(みち)来(く)る人の 立ち留(と)まり いかにと問(と)はば、答(こた)へ遣(や)る、たづきを知らに、さ丹(に)つらふ、君(きみ)が名(な)言(い)はば、色(いろ)に出(い)でて、人(ひと)知(し)りぬべみ、あしひきの、山より出づる、月(つき)待(ま)つと、人には言ひて、君(きみ)待(ま)つ我(わ)れを |
意味: 山田の道で愛(いと)しい妻のあなたと話もしないで別れてきたので、行くことも帰ることもできず。。。。馬(うま)のように立ったままつまづいて、どうしてよいかも分からないで、乱れた心は天地にいっぱいになりそうで。。。。心が通じ合ったなら、あなたも来てくれるかと、私が深いため息をついているのを、道を通る人が立ち止まって、「どうされましたか」なんて聞かれたら、どう答えていいかもわからずに、ほほの紅(あか)いあなたの名前を言ってしまったら、人に知られてしまいそうなので。。。。「山から出てくる月(つき)を待っているのです」と人には言って、あなたを待っている私です。 |