第十三巻 : み佩かしを剣の池の蓮葉に

2010年01月03日(日)更新


原文: 御佩乎 劔池之 蓮葉尓 渟有水之 徃方無 我為時尓 應相登 相有君乎 莫寐等 母寸巨勢友 吾情 清隅之池之 池底 吾者不忘 正相左右二

作者: 不明

よみ: み佩(は)かしを、剣(つるぎ)の池の、蓮葉(はちば)に、溜(た)まれる水の、ゆくへなみ、我がする時に、逢(あ)ふべしと、逢ひたる君を、な寐(い)ねそと、母聞こせども、我が心、清隅(きよすみ)の池の、池の底、我れは忘れじ、直(ただ)に逢ふまでに

意味: 剣(つるぎ)の池蓮(はす)の葉にたまった水がどこにゆくのか分からないように、私もどうなるか分からないでいるときに、「逢うべきですよ」と告げられたので逢ったあなた。そのあなたと「寝てはいけないよ」と母が言うけれど、私の心は清隅(きよすみ)の池の底にじっとしているように、あなたのことは忘れません。じかにあなたに逢うまでは…

撮影(2000.7.1) by きょう

「み佩(は)かしを」は、「剣」を導く枕詞です。「清隅(きよすみ)の池」がどこかははっきりとはしていません。


第十三巻