原文
師名立 都久麻左野方 息長之 遠智能小菅 不連尓 伊苅持来 不敷尓 伊苅持来而 置而 吾乎令偲 息長之 遠智能子菅
作者
不明
よみ
しなたつ、筑摩(つくま)さのかた、息長(おきなが)の、越智(をち)の小菅(こすげ)、編(あ)まなくに、い刈り持ち来(き)、敷(し)かなくに、い刈り持ち来て、置きて、我れを偲(しの)はす、息長(おきなが)の、越智(をち)の小菅(こすげ)
意味
筑摩(つくま)のさのかたや息長(おきなが)の越智(をち)の小菅(こすげ)を編んだりはしないのに、息長(おきなが)の越智(をち)の小菅(こすげ)を刈って持って来て敷物にする気もないのに、刈って持って来て置きっぱなしにして、私をやきもきさせて。私は、そんな息長(おきなが)の越智(をち)の小菅(こすげ)。
真面目にお付き合いする気もないのに、関わってくる男性を恨む歌と考えられています。
補足
「しなたつ」は、筑摩(つくま)を導く枕詞(まくらことば)です。筑摩(つくま)は現在の滋賀県米原市付近とされています。
息長(おきなが)の越智(をち)も、現在の滋賀県米原市付近とされています。
小菅(こすげ)は、菅(すげ)のことで、カヤツリグサ科の植物です。古くから笠や敷物を編むのに使われています。