原文
海原乎 等保久和多里弖 等之布等母 兒良我牟須敝流 比毛等久奈由米
作者
よみ
海原(うなはら)を、遠く渡りて、年(とし)経(ふ)とも、子らが結べる、紐(ひも)解(と)くなゆめ
意味
海原を遠く渡って、年月が経ったとしても、奥さんが結んでくれた紐を解かないでよ、決して。
天平勝寳七歳(西暦755年)二月九日に、大伴家持(ややとものやかもち)が詠んだ歌です。
当時は、旅などで長く離れるようなときには、夫婦間で互いに(下着の)紐を結びあったそうです。
補足
この歌を含む4321~4394番歌の題詞には、「天平勝寳七歳(西暦755年)乙未(いっぴ)二月、相替(あいかわ)りて筑紫(ちくし)に遣(つか)わされる諸國(しょこく)の防人(さきもり)等の歌」、とあります。
この歌を含む、4334~4336番歌の左注には、「右、九日に大伴宿祢家持(ややとものすくねやかもち)作る。」とあります。