原文

三薦苅 信濃乃真弓 不引為而 強<佐>留行事乎 知跡言莫君二

作者

石川郎女(いしかわのいらつめ)

よみ

み薦(こも)刈る、信濃の真弓(まゆみ)、引かずして、強(し)ひさるわざを、知ると言はなくに

真弓 撮影 by きょう

意味

信濃の真弓(まゆみ)を引くように強く(私のことを)引いたりしないで、どうしてあなた様の心を知ることなどできましょう。

「み薦(こも)刈(か)る」は、「信濃(しなの)」の枕詞(まくらことば)です。「薦(こも)」は沼地に生えるイネ科の植物で、信濃に多く生えていたとのことです。

補足

この歌の題詞には、「久米禅師(くめのぜんじ)が石川郎女(いしかわのいらつめ)を娉(よば)う時の歌五首」とあります。この歌は、石川郎女(いしかわのいらつめ)が久米禅師(くめのぜんじ)に返答した歌です。

更新日: 2013年01月27日(日)