原文 Original Text
橘之 蔭履路乃 八衢尓 物乎曽念 妹尓不相而
作者 Author
三方沙弥(みかたのさみ) Mikata-no-Sami
よみ Reading
橘(たちばな)の 蔭(かげ)踏む道の 八衢(やちまた)に 物をぞ思ふ 妹(いも)に逢はずして
- Tachibana no Kaage fumu michi no Yachimata ni Mono wozo omofu Imo ni ahazu shsite.
意味 Meaning
橘(たちばな)の影を踏む分かれ道のように、あれこれ思うのです。あなたに逢わないので。
・園臣生羽(そののおみいくは)の娘さんと婚姻をしたのに、すぐに病で伏してしまって彼女の元に通えない三方沙弥(みかたのさみ)が詠んだ歌です。
・「八衢(やちまた)」は、道がいくつも交叉しているところです。
- rough meaning: Like a Yachimata(where many roads intersect) where I step on the shadow of a tachibana tree, I am troubled by this and that because I cannot go and see you.
補足 Notes
・この歌を含む0123番歌の題詞に、「三方沙弥(みかたのさみ)、園臣生羽(そののおみいくは)の女(むすめ)を娶(まき)て、未だ幾(いくばく)の時も經(へ)ねば、病(やまい)に臥(ふ)して作る歌三首」とあります。