原文
安須能比能 敷勢能宇良未能 布治奈美尓 氣太之伎奈可受 知良之底牟可母 [一頭云 保等登藝須]
作者
よみ
明日の日の 布勢(ふせ)の浦廻(うらみ)の 藤波(ふぢなみ)に けだし来(き)鳴かず 散らしてむかも [一に頭(かみ)にいわく 霍公鳥(ほととぎす)]
意味
明日、ひょっとして布勢の浦辺の藤の花に(ほととぎすは)来鳴かず、むなしく散らしてしまうのではないでしょうか。[一案の初句は 霍公鳥(ほととぎす)]
- rough meaning: Tomorrow, Hottogisu may possibly not come to the wisteria flowers in Fuse bay area, and the flowers will scatter in vain.
補足
この歌を含む4036番歌の題詞には「于時期之明日将遊覧布勢水海仍述懐各作歌」とあります。また、この歌の左注には「右一首、大伴宿祢家持(おおとものすくねやかもち)和(わ)す。前(さき)の件(くだん)の十首歌は廿四日(24日)の宴(うたげ)に作る。」とあります。