藤(ふじ) Fuji(Wisteria)
藤(ふじ)は豆科フジ属のツル性の落葉樹で日本に古くからあります。4月~5月に小さな花が沢山垂れ下がります。なお、ノフジと呼ばれるもののツルは右巻き(上から見て時計回り)で、ヤマフジと呼ばれるもののツルは左巻きだそうです。
- Fuji(Wisteria) is a deciduous tree of the genus legumes and has long been in Japan. Many small flowers hang from April to May. In addition, it is said that the vine of what is called Nofuji is right-handed (clockwise when viewed from above), and the vine of what is called Yamafuji is left-handed.
藤(ふじ)を詠んだ歌 Poems including Fuji
万葉集では藤は、藤波(ふじなみ:藤の花が風で波のように揺れ動くこと)と表現されることが多いです。また、海女(あま)の藤衣(ふじころも)と表現されているものは、つるの繊維で織った粗末な衣のことのようです
0330: 藤波の花は盛りになりにけり奈良の都を思ほすや君
0413: 須磨の海女の塩焼き衣の藤衣間遠にしあればいまだ着なれず
1471: 恋しけば形見にせむと我がやどに植ゑし藤波今咲きにけり
1627: 我が宿の時じき藤のめづらしく今も見てしか妹が笑まひを
1901: 藤波の咲く春の野に延ふ葛の下よし恋ひば久しくもあらむ
1944: 藤波の散らまく惜しみ霍公鳥今城の岡を鳴きて越ゆなり
1974: 春日野の藤は散りにて何をかもみ狩の人の折りてかざさむ
1991: 霍公鳥来鳴き響もす岡辺なる藤波見には君は来じとや
2971: 大君の塩焼く海人の藤衣なれはすれどもいやめづらしも
3075: かくしてぞ人は死ぬといふ藤波のただ一目のみ見し人ゆゑに
3248: 磯城島の大和の国に人さはに満ちてあれども.......(長歌)
3504: 春へ咲く藤の末葉のうら安にさ寝る夜ぞなき子ろをし思へば
3952: 妹が家に伊久里の杜の藤の花今来む春も常かくし見む
3993: 藤波は咲きて散りにき卯の花は今ぞ盛りと.......(長歌)
4042: 藤波の咲き行く見れば霍公鳥鳴くべき時に近づきにけり
4043: 明日の日の布勢の浦廻の藤波にけだし来鳴かず散らしてむかも
4187: 思ふどちますらをのこの木の暗の.......(長歌)
4188: 藤波の花の盛りにかくしこそ浦漕ぎ廻つつ年に偲はめ
4192: 桃の花紅色ににほひたる面輪のうちに.......(長歌)
4193: 霍公鳥鳴く羽触れにも散りにけり盛り過ぐらし藤波の花
4199: 藤波の影なす海の底清み沈く石をも玉とぞ我が見る
4200: 多胡の浦の底さへにほふ藤波をかざして行かむ見ぬ人のため
4201: いささかに思ひて来しを多胡の浦に咲ける藤見て一夜経ぬべし
4202: 藤波を仮廬に作り浦廻する人とは知らに海人とか見らむ
4207: ここにしてそがひに見ゆる我が背子が.......(長歌)
4210: 藤波の茂りは過ぎぬあしひきの山霍公鳥などか来鳴かぬ