第五巻 : かけまくはあやに畏し足日女神の命
2009年12月13日(日)更新 |
原文: 可既麻久波 阿夜尓可斯故斯 多良志比■(口+羊) 可尾能弥許等 可良久尓遠 武氣多比良宜弖 弥許々呂遠 斯豆迷多麻布等 伊刀良斯弖 伊波比多麻比斯 麻多麻奈須 布多都能伊斯乎 世人尓 斯n斯多麻比弖 余呂豆余尓 伊比都具可祢等 和多能曽許 意枳都布可延乃 宇奈可美乃 故布乃波良尓 美弖豆可良 意可志多麻比弖 可武奈何良 可武佐備伊麻須 久志美多麻 伊麻能遠都豆尓 多布刀伎呂可■(人偏+舞) 作者: 山上憶良(やまのうえのおくら) よみ: かけまくは、あやに畏(かしこし)し、足日女(たらしひめ)、神の命(みこと)、韓国(からくに)を、向け平らげて、御心(みこころ)を 鎮めたまふと、い取らして、斎(いは)ひたまひし、真玉(またま)なす、二つの石を、世の人に、示したまひて、万代(よろづよ)に、言ひ継ぐかねと、海(わた)の底、沖つ深江(ふかえ)の、海上(うなかみ)の、子負(こふ)の原に、御手(みた)づから、置かしたまひて、神ながら、神さびいます、奇(く)し御魂(みたま)、今のをつづに、貴(たふと)きろかむ |
意味: 口に出して言うことは恐れ多いですが、神功皇后(じんぐうこうごう)さまが新羅(しらぎ)の国を平定され、御心を鎮められるために、手に持たれて祭られた玉のような二つの石を、世の中の人々にお見せになって、いつまでも語り伝えるようにと、深江(ふかえ)の子負(こふ)の原に自ら置かれて、神として祭られた魂の宿る石は、今も尊いことです。 この歌には題詞があります。題詞については、平敷(ひらしき)をご覧ください。 |