綿 Wata(Silk floss)
古代日本で「綿」というと今の木綿(もめん)とは違って、くず繭(まゆ)などを煮て引き伸ばして作った綿、いわゆる真綿(まわた)とされています。なお、真綿を紡いで絹糸(紬や生糸)が作られます。
- In ancient Japan, "Wata" is different from the current Wata(Cotton) we are familiar to, and it was silk floss made by boiling and stretching waste cocoons, so-called "Ma-wata". In addition, silk thread (pongee or raw silk) is made by spinning "Ma-wata".
綿(わた)を詠んだ歌
万葉集には綿の暖かさが詠まれています。主な歌に詠まれているのは真綿(まわた)だと考えられていますが、しらぬひ筑紫の綿・・・は、当時九州に渡ってきたばかりの綿(茶綿:ちゃめん)ではないかとも考えられます。(否定的な意見もあります。)
- The warmth of Ma-wata is described in Manyoshu. It is thought that many poems describe Ma-wata , but "Wata" in No.0336 poem is thought to be cotton (brown cotton) that had just arrived in Kyushu at that time. (There are also negative opinions.)
0336: しらぬひ筑紫の綿は身に付けていまだは着ねど暖けく見ゆ
0892: 風交り雨降る夜の雨交り雪降る夜はすべもなく寒くしあれば.......(長歌)
0900: 富人の家の子どもの着る身なみ腐し捨つらむ絹綿らはも
3354: 伎倍人のまだら衾に綿さはだ入りなましもの妹が小床に
補足
・私たちが知っている「綿」というとアオイ科ワタ属の一年草です。繊維としての綿をとるために栽培されてきました。夏に花を咲かせて、秋に種に白く長い毛がでてきます。綿花が本格的に日本に入ってきたのは室町時代と考えられています。