原文
久堅乃 天露霜 置二家里 宅有人毛 待戀奴濫
作者
坂上郎女(さかのうえのいらつめ)
よみ
ひさかたの、天(あめ)の露霜(つゆしも)、置きにけり、家(いへ)なる人も、待ち恋(こ)ひぬらむ
意味

天からの露(つゆ)や霜しも)が降りています。家にいるあの人も、持ちわびているでしょう。
補足
坂上郎女が、お兄さんの大伴旅人(おおとものたびと)といっしょに大宰府(だざいふ)に居たときに、都に残した娘さんのことを思って詠んだ歌ではないか、とも考えられています。坂上郎女には、大嬢(おおいらつめ)と二嬢(おといらつめ)のふたりの娘さんがいました。
「ひさかたの」は、天(あめ)、雨、月などを導く枕詞(まくらことば)です。