霜(しも) Shimo(Frost)
霜(しも)は、空気中の水蒸気が氷点下の地面や植物の葉などに触れて氷の結晶となるものです。
- Frost is a form of ice crystal that becomes by contact with the ground below the freezing point, the leaves of plants, and so on.
霜(しも)を詠んだ歌 Poems on Shimo
万葉集では露(つゆ)と一緒に「露霜(つゆしも)」として使われることが多く、秋(あき)・置く・過ぐ・消ゆ等の枕詞(まくらことば)となっています。
- In Manyoshu, "Shimo" is often used as "Tsuyu-Shimo" together with "Tsuyu" and it is used as Makurakotoba for Aki(autumn), Oku(putting on), Sugu(passing by), Keyu(extinguishing) and so forth.
0064: 葦辺行く鴨の羽交ひに霜降りて寒き夕は大和し思ほゆ
0079: 大君の命畏み柔びにし家を置き.......(長歌)
0087: ありつつも君をば待たむうち靡く我が黒髪に霜の置くまでに
0089: 居明かして君をば待たむぬばたまの我が黒髪に霜は降るとも
0131: 石見の海角の浦廻を浦なしと.......(長歌)
0138: 石見の海津の浦をなみ浦なしと.......(長歌)
0199: かけまくもゆゆしきかも言はまくも.......(長歌)
0443: 天雲の向伏す国のますらをと.......(長歌)
0466: 我がやどに花ぞ咲きたるそを見れど.......(長歌)
0651: ひさかたの天の露霜置きにけり家なる人も待ち恋ひぬらむ
0804: 世間のすべなきものは年月は.......(長歌)
0971: 白雲の龍田の山の露霜に色づく時に.......(長歌)
1009: 橘は実さへ花さへその葉さへ枝に霜降れどいや常葉の木
1047: やすみしし我が大君の高敷かす大和の国は.......(長歌)
1083: 霜曇りすとにかあるらむ久方の夜渡る月の見えなく思へば
1116: ぬばたまの我が黒髪に降りなづむ天の露霜取れば消につつ
1375: 朝霜の消やすき命誰がために千年もがもと我が思はなくに
1434: 霜雪もいまだ過ぎねば思はぬに春日の里に梅の花見つ
1512: 経もなく緯も定めず娘子らが織る黄葉に霜な降りそね
1556: 秋田刈る刈廬もいまだ壊たねば雁が音寒し霜も置きぬがに
1580: さを鹿の来立ち鳴く野の秋萩は露霜負ひて散りにしものを
1589: 露霜にあへる黄葉を手折り来て妹とかざしつ後は散るとも
1600: 妻恋ひに鹿鳴く山辺の秋萩は露霜寒み盛り過ぎゆく
1744: 埼玉の小埼の沼に鴨ぞ羽霧るおのが尾に降り置ける霜を掃ふとにあらし
1791: 旅人の宿りせむ野に霜降らば我が子羽ぐくめ天の鶴群
1846: 霜枯れの冬の柳は見る人のかづらにすべく萌えにけるかも
1908: 春されば水草の上に置く霜の消につつも我れは恋ひわたるかも
2127: 秋さらば妹に見せむと植ゑし萩露霜負ひて散りにけるかも
2132: 天雲の外に雁が音聞きしよりはだれ霜降り寒しこの夜は
2135: おしてる難波堀江の葦辺には雁寝たるかも霜の降らくに
2170: 秋萩の枝もとををに露霜置き寒くも時はなりにけるかも
2178: 妻ごもる矢野の神山露霜ににほひそめたり散らまく惜しも
2189: 露霜の寒き夕の秋風にもみちにけらし妻梨の木は
2203: 里ゆ異に霜は置くらし高松の野山づかさの色づく見れば
2220: さを鹿の妻呼ぶ山の岡辺なる早稲田は刈らじ霜は降るとも
2232: 秋山の木の葉もいまだもみたねば今朝吹く風は霜も置きぬべく
2238: 天飛ぶや雁の翼の覆ひ羽のいづく漏りてか霜の降りけむ
2243: 秋山に霜降り覆ひ木の葉散り年は行くとも我れ忘れめや
2253: 色づかふ秋の露霜な降りそね妹が手本をまかぬ今夜は
2255: 我が宿の秋萩の上に置く露のいちしろくしも我れ恋ひめやも
2257: 露霜に衣手濡れて今だにも妹がり行かな夜は更けぬとも
2336: はなはだも夜更けてな行き道の辺の斎笹の上に霜の降る夜を
2395: 行き行きて逢はぬ妹ゆゑひさかたの天露霜に濡れにけるかも
2458: 朝霜の消なば消ぬべく思ひつついかにこの夜を明かしてむかも
2616: 奥山の真木の板戸を音早み妹があたりの霜の上に寝ぬ
2692: 夕凝りの霜置きにけり朝戸出にいたくし踏みて人に知らゆな
3043: 露霜の消やすき我が身老いぬともまたをちかへり君をし待たむ
3044: 君待つと庭のみ居ればうち靡く我が黒髪に霜ぞ置きにける
3045: 朝霜の消ぬべくのみや時なしに思ひわたらむ息の緒にして
3281: 我が背子は待てど来まさず雁が音も響みて寒し.......(長歌)
3382: 馬来田の嶺ろの笹葉の露霜の濡れて我来なば汝は恋ふばぞも
3625: 夕されば葦辺に騒き明け来れば沖になづさふ.......(長歌)
3691: 天地とともにもがもと思ひつつ.......(長歌)
3699: 秋去れば置く露霜にあへずして都の山は色づきぬらむ
4011: 大君の遠の朝廷ぞみ雪降る越と名に追へる.......(長歌)
4111: かけまくもあやに畏し天皇の.......(長歌)
4160: 天地の遠き初めよ世間は.......(長歌)
4211: 古にありけるわざのくすばしき.......(長歌)
4268: この里は継ぎて霜や置く夏の野に我が見し草はもみちたりけり
4298: 霜の上に霰た走りいやましに我れは参ゐ来む年の緒長く
4431: 笹が葉のさやぐ霜夜に七重着る衣に増せる子ろが肌はも