原文
三輪山乎 然毛隠賀 雲谷裳 情有南畝 可苦佐布倍思哉
作者
よみ
三輪山(みわやま)を、しかも隠すか、雲(くも)だにも、心あらなも、隠さふべしや
意味
三輪山(みわやま)を、そんなにまでして隠すのですか。せめて雲(くも)だけには心があってほしいものです。隠すなんてこと、あってはいけないことです。
天智(てんじ)6年(667)に都を明日香(あすか)の地から近江(おうみ)に移す時に詠まれた歌です。
- rough meaning: Oh Clouds, why are you hiding Miwayama(Mt.Miwa)? I want you to have a heart. Don't hide the mountain that I want to see.
補足
この歌の題詞には、「額田王(ぬかたのおおきみ)が近江國(おうみのくに)に下る時、作る歌。井戸王(いのへのおおきみ)がすぐに和す歌」とあります。
この歌の左注には、「右の二首の歌は、山上憶良大夫(やまのうえのおくらたいふ)の類聚歌林(るいじゅうかりん)に曰 (いわ)く、『都を近江國(おうみのくに)に遷(うつ)す時 、三輪山を御覧になって詠まれた御歌』とあり、日本書紀に曰く『六年(西暦667年)丙寅(へいいん)の春三月、辛酉(しんゆう)の朔(ついたち)の己卯(きぼう)、都を近江(おうみ)に遷(うつ)す』とあります。」とあります。