原文

春去者 乎呼理尓乎呼里 鴬<之 鳴>吾嶋曽 不息通為

作者

葛井広成(ふじゐのひろなり)

よみ

春(はる)されば ををりにををり 鴬(うぐいす)の 鳴く我が山斎(しま)ぞ やまず通(かよ)はせ

意味

鶯 by 写真AC

春(はる)がやってくると、枝をたわめるほど花が咲いていて鴬(うぐいす)が鳴く私の庭に欠かさずお越しください。

・山斎(しま)は、築山(つきやま:山をかたどって土をつみ上げたもの)がある庭園のことです。

- rough meaning: When spring comes, flowers bloom with bowing the branches and Uguisu sings in my garden. Please come and see my garden many times.

補足

・この歌を含む1011番歌のこの歌の題詞には、「(天平8年(西暦736年)の)冬十二月十二日に歌儛所(うたまいどころ:歌舞の担当部署)の諸(もろもろ)の王や臣子(おみこ:家来)たちが葛井連廣成(ふじわらのむらじひろなり)の家に集まって宴(うたげ)する歌二首。近ごろ古儛(こぶ)が盛りになりましたが、今年も暮れました。当然のように共に古い情をもって古い歌を歌いましょう。ですからこれに、賛同して古い歌を二つ献上します。風流で意気ある者が、たまたまこの席にいらっしゃったら争って思いを起こし、それぞれ古い歌に和してください。」とあります。

更新日: 2020年03月15日(日)