春(はる) Haru(Spring)

花と蝶 by 写真AC

春は、正月から3月ですが、そのころはまだまだ寒く、雪さえ降りますね。でも、万葉の人々は、ほんのちいさな風景・風(かぜ)・空気の変化をとらえて「あぁ、もう春なんだなぁ」って思ったようですね。

- The spring of Manyo is from New Year to March, but by that time it is still cold and it snows sometimes. However, many people seem to had grasped the small change of the scenery, the wind, and the air. "Oh, it is already spring, isn't it?".

春(はる)を詠んだ歌 Poems in Spring

春の鹿 by 写真AC

春にかかわる歌には、春、春風、春霞、春野、春の雨などの言葉が登場します。春の草花については、万葉集の草花 Flowersをご覧ください。春といえば「」がメインですね。

- For details on poems in spring flowers, see page "Flowers".

0054: 巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲はな巨勢の春野を

0056: 川上のつらつら椿つらつらに見れども飽かず巨勢の春野は

0257: 天降りつく天の香具山霞立つ春に至れば松風に.......(長歌)

0815: 正月立ち春の来らばかくしこそ梅を招きつつ楽しき終へめ

0818: 春さればまづ咲くやどの梅の花独り見つつや春日暮らさむ

0826: うち靡く春の柳と我がやどの梅の花とをいかにか分かむ

0831: 春なればうべも咲きたる梅の花君を思ふと夜寐も寝なくに

0833: 年のはに春の来らばかくしこそ梅をかざして楽しく飲まめ

0834: 梅の花今盛りなり百鳥の声の恋しき春来るらし

0835: 春さらば逢はむと思ひし梅の花今日の遊びに相見つるかも

0837: 春の野に鳴くや鴬なつけむと我が家の園に梅が花咲く

0838: 梅の花散り乱ひたる岡びには鴬鳴くも春かたまけて

0839: 春の野に霧立ちわたり降る雪と人の見るまで梅の花散る

0948: ま葛延ふ春日の山はうち靡く春さりゆくと山の上に.......(長歌)

0971: 白雲の龍田の山の露霜に色づく時にうち越えて.......(長歌)

0995: かくしつつ遊び飲みこそ草木すら春は咲きつつ秋は散りゆく

1012: 春さればををりにををり鴬の鳴く我が山斎ぞやまず通はせ

1047: やすみしし我が大君の高敷かす大和の国は.......(長歌)

1418: 石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも

1422: うち靡く春来るらし山の際の遠き木末の咲きゆく見れば

1424: 春の野にすみれ摘みにと来し我れぞ野をなつかしみ一夜寝にける

1433: うち上る佐保の川原の青柳は今は春へとなりにけるかも

1439: 時は今は春になりぬとみ雪降る遠山の辺に霞たなびく

1443: 霞立つ野の上の方に行きしかば鴬鳴きつ春になるらし

1444: 山吹の咲きたる野辺のつほすみれこの春の雨に盛りなりけり

1446: 春の野にあさる雉の妻恋ひにおのがあたりを人に知れつつ

1812: ひさかたの天の香具山この夕霞たなびく春立つらしも

1814: いにしへの人の植ゑけむ杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし

1819: うち靡く春立ちぬらし我が門の柳の末に鴬鳴きつ

1824: 冬こもり春さり来ればあしひきの山にも野にも鴬鳴くも

1825: 紫草の根延ふ横野の春野には君を懸けつつ鴬鳴くも

1835: 今さらに雪降らめやもかぎろひの燃ゆる春へとなりにしものを

1836: 風交り雪は降りつつしかすがに霞たなびき春さりにけり

1837: 山の際に鴬鳴きてうち靡く春と思へど雪降りしきぬ

1838: 峰の上に降り置ける雪し風の共ここに散るらし春にはあれども

1844: 冬過ぎて春来るらし朝日さす春日の山に霞たなびく

東大寺の春 by 写真AC

1845: 鴬の春になるらし春日山霞たなびく夜目に見れども

1847: 浅緑染め懸けたりと見るまでに春の柳は萌えにけるかも

1865: うち靡く春さり来らし山の際の遠き木末の咲きゆく見れば

1877: 春の雨にありけるものを立ち隠り妹が家道にこの日暮らしつ

1884: 冬過ぎて春し来れば年月は新たなれども人は古りゆく

1886: 住吉の里行きしかば春花のいやめづらしき君に逢へるかも

1888: 白雪の常敷く冬は過ぎにけらしも春霞たなびく野辺の鴬鳴くも

1891: 冬こもり春咲く花を手折り持ち千たびの限り恋ひわたるかも

1895: 春さればまづさきくさの幸くあらば後にも逢はむな恋ひそ我妹

1902: 春の野に霞たなびき咲く花のかくなるまでに逢はぬ君かも

1923: 白真弓今春山に行く雲の行きや別れむ恋しきものを

3221: 冬こもり春さり来れば朝には白露置き.......(長歌)

3901: み冬継ぎ春は来たれど梅の花君にしあらねば招く人もなし

3965: 春の花今は盛りににほふらむ折りてかざさむ手力もがも

3966: 鴬の鳴き散らすらむ春の花いつしか君と手折りかざさむ

3978: 妹も我れも心は同じたぐへれどいやなつかしく.......(長歌)

3982: 春花のうつろふまでに相見ねば月日数みつつ妹待つらむぞ

3993: 藤波は咲きて散りにき卯の花は今ぞ盛りとあしひきの.......(長歌)

4137: 正月立つ春の初めにかくしつつ相し笑みてば時じけめやも

4174: 春のうちの楽しき終は梅の花手折り招きつつ遊ぶにあるべし

4180: 春過ぎて夏来向へばあしひきの.......(長歌)

4290: 春の野に霞たなびきうら悲しこの夕影に鴬鳴くも

4300: 霞立つ春の初めを今日のごと見むと思へば楽しとぞ思ふ

4434: ひばり上がる春へとさやになりぬれば都も見えず霞たなびく

4488: み雪降る冬は今日のみ鴬の鳴かむ春へは明日にしあるらし

4490: あらたまの年行き返り春立たばまづ我が宿に鴬は鳴け

4492: 月数めばいまだ冬なりしかすがに霞たなびく春立ちぬとか

補足

更新日: 2024年02月25日(日)