原文
巨勢山乃 列々椿 都良々々尓 見乍思奈 許湍乃春野乎
作者
坂門人足(さかとのひとたり)
よみ
巨勢山(こせやま)の つらつら椿(つばき) つらつらに 見つつ思(しの)はな 巨勢(こせ)の春野を
意味
巨勢山(こせやま)のたくさん連なって咲いている椿(つばき)。よくよく見て偲びましょう、巨勢(こせ)の春(はる)の野を。
・「巨勢(こせ)」は、現在の奈良県御所市古瀬あたりと考えられています。
- rough meaning: Let's look closely the camellias that are blooming in a row in Koseyama-mountain and keep in mind the spring fields of Koseyama.
補足
・この歌の題詞には、「大寳(たいほう)元年(西暦701年)辛丑(かのとうし)の秋(あき)九月、太上天皇(おほきすめらみこと:持統天皇)の紀伊國(きのくに)に幸(いでま)しし時の歌」とあります。秋に、巨勢(こせ)の春を思って詠んだ歌ですね。