原文
葦邊徃 鴈之翅乎 見別 公之佩具之 投箭之所思
作者
不明(防人(さきもり)の妻とも)
よみ
葦辺(あしへ)行く 雁(かり)の翼(つばさ)を 見るごとに 君が帯(お)ばしし 投矢(なげや)し思ほゆ
意味
葦辺(あしべ)を飛ぶ雁(かり)の翼を見るたびに、あなたが腰に挿していた投矢(なげや)が思い出されます。
・「投矢(なげや)」は、弓を使わないで手で投げ放つ矢のことです。
- rough meaning: Every time I see the wings of the geese flying on the waterside reeds, they reminds me the hand-throwing arrow which was put on your waist.(Her husband has been convened as a Sakimori soldier.)
補足
・この歌の左注には「右二首 但し或(あるい)は云(い)はく 此の短歌は防人(さきもり)の妻の作る所なり 然(しか)らば則(すなは)ち長歌もまた此と同じく作りためことを知るべし」とあります。「この歌と直前の長歌は防人(さきもり)の妻が作ったものだろう」というわけです。