原文 Original Text
玉匣 将見圓山乃 狭名葛 佐不寐者遂尓 有勝麻之自
作者 Author
藤原鎌足(ふじわらのかまたり)
よみ Reading
玉櫛笥(たまくしげ) みむろの山の さな葛(かづら) さ寝ずはつひに 有りかつましじ [玉くしげ三室戸山の]
- Tamakushige Mimuro no yama no Sanakazura Sanezu ha tsuhi ni Ari katsu mashiji [Tamakushige Mimuroto yama no].
意味 Meaning
玉櫛笥(たまくしげ:化粧道具を入れる箱)のように開けて見る、みむろの山のさな葛(かづら)。(あなたと)さ寝ずにはとってもいられないですよ。(夜が明けるまであなたと一緒に居たいのですよ。)
・「玉櫛笥(たまくしげ)」で「みむろの山」を、「さな葛(かづら)」で「さ寝」を導いています。
・「みむろの山」は、「神がいらっしゃる山」のことで、この歌では三輪山のことではないかといわれています。
- rough meaning: Until dawn like opening Tamakushige(a bright cosmetic box), and lie by the side of you like the Sanakazura on the mountain of God, I want to be with you whole time.
補足 Note
この歌の題詞には、「内大臣(ないだいじん)藤原卿(ふじわらきょう)、鏡王女(かがみのおおきみ)に報へ贈る歌一首」とあります。
藤原鎌足(ふじわらのかまたり)が鏡王女(かがみのおおきみ)に求婚したときに、鏡王女(かがみのおおきみ)が「うわさがたつようなことは嫌ですわ」と詠んだ歌への返事の歌です。