原文 Original Text

玉匣 将見圓山乃 狭名葛 佐不寐者遂尓 有勝麻之自

作者 Author

藤原鎌足(ふじわらのかまたり)

よみ Reading

玉櫛笥(たまくしげ) みむろの山の さな葛(かづら) さ寝ずはつひに 有りかつましじ [玉くしげ三室戸山の]

- Tamakushige Mimuro no yama no Sanakazura Sanezu ha tsuhi ni Ari katsu mashiji [Tamakushige Mimuroto yama no].

意味 Meaning

サネカズラ by 写真AC

玉櫛笥(たまくしげ:化粧道具を入れる箱)のように開けて見る、みむろの山のさな葛(かづら)。(あなたと)さ寝ずにはとってもいられないですよ。(夜が明けるまであなたと一緒に居たいのですよ。)

・「玉櫛笥(たまくしげ)」で「みむろの山」を、「さな葛(かづら)」で「さ寝」を導いています。

・「みむろの山」は、「神がいらっしゃる山」のことで、この歌では三輪山のことではないかといわれています。

- rough meaning: Until dawn like opening Tamakushige(a bright cosmetic box), and lie by the side of you like the Sanakazura on the mountain of God, I want to be with you whole time.

補足 Note

この歌の題詞には、「内大臣(ないだいじん)藤原卿(ふじわらきょう)、鏡王女(かがみのおおきみ)に報へ贈る歌一首」とあります。

藤原鎌足(ふじわらのかまたり)が鏡王女(かがみのおおきみ)に求婚したときに、鏡王女(かがみのおおきみ)が「うわさがたつようなことは嫌ですわ」と詠んだ歌への返事の歌です。

更新日: 2022年10月09日(日)