真葛(さなかづら) Sanakazura(Scarlet kadsura/Kadsura japonica)

さなかづら by 写真AC

モクレン科サネカズラ属の常緑つる性の真葛(さねかずら)です。花は夏に咲き、秋に赤く丸い実をつけます。枝に粘液があり、鬢(びん)付け油の原料として使われるので、江戸時代には美男葛(びなんかずら)とも呼ばれたそうです。

- Sanakazura is an evergreen climbing vine of the Magnoliaceae family. It blooms in summer and produces round red berries in autumn. During the Edo period, it was also called "Binan Kazura" which means the kazura for cool guy because it has mucilage in its branches and is used as a raw material for hair oil.

真葛(さなかづら)を詠んだ歌 Poems

さなかづら by 写真AC

万葉集には10首以上に載っています。「真葛(さなかづら)」が「後も逢ふ」「実(み)」などを導く枕詞(まくらことば)として使われている歌もあります。

0094: 玉櫛笥みむろの山のさな葛さ寝ずはつひに有りかつましじ

0101: 玉葛実ならぬ木にはちはやぶる神ぞつくといふならぬ木ごとに

0102: 玉葛花のみ咲きてならずあるは誰が恋にあらめ我れ恋ひ思ふを

0207: 天飛ぶや軽の道は我妹子が里にしあれば.......(長歌)

2296: あしひきの山さな葛もみつまで妹に逢はずや我が恋ひ居らむ

3070: 木綿畳田上山のさな葛ありさりてしも今ならずとも

3071: 丹波道の大江の山のさな葛絶えむの心我が思はなくに

3073: 木綿包み白月山のさな葛後もかならず逢はむとぞ思ふ

3280: 我が背子は待てど来まさず天の原.......(長歌)

3281: 我が背子は待てど来まさず雁が音も.......(長歌)

3288: 大船の思ひ頼みてさな葛いや遠長く.......(長歌)

補足

・真葛(さねかずら)は雌雄同株(雄しべも雌しべもある両性花)のものもありますが、雌雄異株(雄花の咲く株と雌花の咲く株が別)の場合が多いそうで雄花と雌花が同時に咲かないと受粉が難しいそうです。

更新日: 2023年04月02日(日)