第二巻 : 高円の野辺の秋萩いたづらに

2007年04月08日(月)更新


原文: 高圓之 野邊乃秋芽子 徒 開香将散 見人無尓

出典: 笠朝臣金村(かさのあそんのかなむら)歌集より

よみ: 高円(たかまと)の、野辺の秋萩いたづらに、咲きか散るらむ、見る人なしに

意味: 高円(たかまと)の野に咲いている秋萩が、空しく咲いては散ってゆくことでしょうか。もう秋萩をご覧になる皇子様がいらっしゃらないので。

背景: 霊亀(れいき)元年(715)に志貴皇子が亡くなったのを悲しんで詠んだ歌の一つです。この歌の前に、長歌(m0230)があります。

「野辺の秋萩いたづらに」という言い方は、志貴皇子(しきのみこ)うねめの袖吹きかえす明日香風都を遠みいたづらに吹くという歌を思い起こさせます。

撮影 by きょう

第二巻