題詞
子(こ)等を思ふ歌一首[并(あは)せて序]
釋迦如来(しゃかにょらい) 金口(こんく:金の口)に正(まさ)しく説きたまはく 「衆生(しゅじょう)を等しく思ふこと羅睺羅(らごら:釈迦の子の名前)の如し」 又説きたまはく 「愛は子に過ぎたりといふこと無し」 至極(しごく)の大聖(だいしょう:釈迦のこと)すらに尚(なほ)子を愛したまふ心有り 況(いはん)や世間(よのなか)の蒼生(あおひとくさ:人々のこと) 誰(たれ)か子を愛せざらめや。
原文
宇利波米婆 胡藤母意母保由 久利波米婆 麻斯提斯農波由 伊豆久欲利 枳多利斯物能曽 麻奈迦比尓 母等奈可可利提 夜周伊斯奈佐農
作者
よみ
瓜(うり)食(は)めば 子ども思ほゆ 栗(くり)食めば まして偲(しの)はゆ いづくより 来(きた)りしものぞ 眼交(まなかひ)に もとなかかりて 安寐(やすい)し寝(な)さぬ
意味
瓜(うり)を食べれば子どものことを思い出す。栗(くり)を食べれば子どもがいとおしい。子どもはどこからやってきたのだろう。子どものことが目の前に浮かんで、なかなか寝付けないなぁ。
- rough meaning: Eating an oriental melon reminds me of my child. Eating chestnuts brings my child to my mind. Where did the child come from? I can't sleep because my child comes to my mind.