麻(あさ) Asa(Hemp)

大麻 by 写真AC

麻(あさ)はアサ科アサ属の一年草の大麻草です。春(はる)に種をまくと、夏(なつ)には2~3メートルにも成長します。夏に茎を抜き、蒸して皮を剥いで繊維を採ります。古代から大麻草や苧麻(まお、からむし)などの茎や葉の繊維を総称して「麻(あさ)」と呼ばれてきました。

- Asa(Hemp) is an annual cannabis plant belonging to the genus Cannabis in the family Cannabis. When sowed in spring, it grows up to 2-3 meters in summer. In the summer, the stems are pulled out, steamed and peeled to loosend the fibers. Since ancient times, the fibers of stems and leaves such as cannabis grass and ramie have been collectively called "Asa(Hemp)".

麻(あさ)を詠んだ歌

麻布 by 写真AC

夏に茎を引き抜くことから、枕詞として「夏麻(なつそ)引く」という言葉が用いられている歌も見受けられます。

0023: 打ち麻を麻続の王海人なれや伊良虞の島の玉藻刈ります

0055: あさもよし紀人羨しも真土山行き来と見らむ紀人羨しも

0157: 三輪山の山辺真麻木綿短か木綿かくのみからに長くと思ひき

0199: かけまくもゆゆしきかも言はまくもあやに畏き明日香の.......(長歌)

0521: 庭に立つ麻手刈り干し布曝す東女を忘れたまふな

0543: 大君の行幸のまにまもののふの八十伴の男と出で行きし.......(長歌)

0892: 風交り雨降る夜の雨交り雪降る夜はすべもなく.......(長歌)

0928: おしてる難波の国は葦垣の古りにし里と人皆の思ひやすみて.......(長歌)

1056: 娘子らが続麻懸くといふ鹿背の山時しゆければ都となりぬ

1176: 夏麻引く海上潟の沖つ洲に鳥はすだけど君は音もせず

1195: 麻衣着ればなつかし紀の国の妹背の山に麻蒔く我妹

1209: 人ならば母が愛子ぞあさもよし紀の川の辺の妹と背の山

1265: 今年行く新防人が麻衣肩のまよひは誰れか取り見む

1298: かにかくに人は言ふとも織り継がむ我が機物の白麻衣

1800: 小垣内の麻を引き干し妹なねが作り着せけむ白栲の.......(長歌)

1807: 鶏が鳴く東の国に古へにありけることと今までに.......(長歌)

2990: 娘子らが績み麻のたたり打ち麻懸けうむ時なしに恋ひわたるかも

3243: 娘子らが麻笥に垂れたる続麻なす長門の浦に朝なぎに.......(長歌)

3255: 古ゆ言ひ継ぎけらく恋すれば苦しきものと玉の緒の.......(長歌)

3272: うちはへて思ひし小野は遠からぬその里人の標結ふと.......(長歌)

3324: かけまくもあやに畏し藤原の都しみみに人はしも.......(長歌)

3348: 夏麻引く海上潟の沖つ洲に船は留めむさ夜更けにけり

3373: 多摩川にさらす手作りさらさらになにぞこの子のここだ愛しき

3381: 夏麻引く宇奈比をさして飛ぶ鳥の至らむとぞよ我が下延へし

3404: 上つ毛野安蘇のま麻むらかき抱き寝れど飽かぬをあどか我がせむ

3454: 庭に立つ麻手小衾今夜だに夫寄しこせね麻手小衾

3484: 麻苧らを麻笥にふすさに績まずとも明日着せさめやいざせ小床に

3791: みどり子の若子髪にはたらちし母に抱かえひむつきの.......(長歌)

補足

更新日: 2021年05月30日(日)