原文
風乎太尓 戀流波乏之 風小谷 将来登時待者 何香将嘆
作者
よみ
風をだに、恋(こ)ふるは羨(とも)し、風をだに、来(こ)むとし待たば、何か嘆かむ
意味

風が吹くことさえ恋い焦がれるなんて羨ましいことです。風が吹いただけて恋する人がいらっしゃったのかと待つことができるのに、何を嘆くことがあるでしょう。
(私は、あの方をもう待つことさえできないのですから。)
補足
この歌の題詞には「鏡王女(かがみのおおきみ)の作る歌一首」とあります。
この歌の直前の歌は、額田王(ぬかたのおおきみ)が詠んだ君待つと我が恋ひ居れば我が宿の簾動かし秋の風吹くです。
・第八巻(1606)にも同じ歌が載っています。