原文
白雲乃 立田山乎 夕晩尓 打越去者 瀧上之 櫻花者 開有者 落過祁里 含有者 可開継 許知期智乃 花之盛尓 雖不見在 君之三行者 今西應有
作者
高橋虫麻呂歌集より
よみ
白雲の、龍田(たつた)の山を、夕暮れに、うち越え行けば、瀧(たき)の上(うへ)の、桜の花は、咲きたるは、散り過ぎにけり、ふふめるは、咲き継ぎぬべし、こちごちの、花の盛りに、あらずとも、君がみ行きは、今にしあるべし
意味
龍田(たつた)の山を夕暮れ時に越えていくと、瀧(たき)の上に咲いていた桜の花がもう散っています。つぼみのものはまだ咲くでしょう。あちこちの花の盛りではありませんが、あなた様がいらっしゃる時は、今でしょう。