原文

松反 四臂而有八羽 三栗 中上不来 麻呂等言八子

作者

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)歌集より

よみ

松(まつ)返(がへ)り しひてあれやは 三栗(みつぐり)の 中(なか)上(のぼ)り来(こ)ぬ 麻呂(まろ)といふ奴(やつこ)

- Matsu gaheri Shihite areya ha Mitsuguri no Naka nobori konu Maro to ifu Yakko.

意味

栗 by 写真AC

鈍感な人でもないのでしょうに、京に行ったまま私の所には来もしないで、麻呂という人は(あんたって人は)。まったく、もう。

・この「麻呂」と呼ばれている夫が詠んだ歌(1782番歌)に対して、その妻が返した歌です。

栗(くり)は、中に実が三つ入っています。そこで、「三栗(みつぐり)の」で「中(なか)」を導いています。

・「中(なか)上(のぼ)り」は、地方に赴任したお役人が、報告などの業務で都に出向くことをいいます。

- rough meaning: I'm sure he's not an insensitive person, but he hasn't come to see me since he went to Kyoto. What a terrible person you are.

補足

・この歌の題詞には、「妻(つま)の和(こた)ふる歌一首」とあります。

更新日: 2022年09月25日(日)