原文
淑人乃 良跡吉見而 好常言師 芳野吉見与 良人四来三
作者
よみ
淑き人の よしとよく見て よしと言ひし 吉野(よしの)よく見よ 良き人よく見
意味
良き人が、良いところだとよく見て言った、吉野(よしの)をよく見なさい。良き人よ、よく見なさい。
- rough meaning: Here is Yoshino where men of the old days looked at and said how a good place. Look therefore, good people, closely at this Yoshino now.
補足
この歌の題詞には「天皇(ここでは天武天皇のこと)、吉野宮に幸(いでま)しし時の御製歌(おほみうた: お作りになった歌)」とあります。
この歌の左注には、「紀(日本書記のこと)に曰く (天武天皇の)八年(西暦679年)己卯(きぼう)五月庚辰(こうしん/かのえたつ)朔(ついたち)甲申(こうしん/きのえさる)[5月5日]、吉野宮に幸(いでま)す」とあります。この翌日に天武天皇は皇后(のちの持統天皇)ならびに六人の皇子とで、みなが結束するよう約束させた(いわゆる、吉野の盟約)とされています。