原文
倭尓者 鳴而歟来良武 呼兒鳥 象乃中山 呼曽越奈流
作者
高市連黒人(たけちのむらじくろひと)
よみ
大和(やまと)には 鳴きてか来らむ 呼子鳥(よぶこどり) 象(きさ)の中山(なかやま) 呼びぞ越(こ)ゆなる
意味
大和(やまと)の方に鳴きながら飛んで行くのでしょうか。呼子鳥(よぶこどり)が象(きさ)の中山(なかやま)を(人の名を)呼ぶように鳴きながら越えていきます。
・「大和(やまと)」は藤原宮(ふじわらのみや)のある地、「象の中山」は吉野離宮近くの象山(きさやま)と呼ばれる山です。
・大宝元年(西暦701年)に持統天皇(じとうてんのう)の吉野への行幸に従ったときに、大和(やまと)を想って詠んだ歌です。
- rough meaning: A Cuckoo is calling and flying over Mt.Nakayama of Kisa. Will it go and convey my heart to Yamato, my home town.(Yamato in this poem is the place where Fujiwara-no-miya is.)
補足
・この歌の題詞には「太上天皇(おおきすめらみこと:持統天皇のこと)吉野宮に幸(いでま)す時に高市連黒人(たけちのむらじくろひと)の作る歌」とあります。