原文

葦原笶 水穂之國丹 手向為跡 天降座兼 五百万 千万神之 神代従 云續来在 甘南備乃 三諸山者 春去者 春霞立 秋徃者 紅丹穂經 甘甞備乃 三諸乃神之 帶為 明日香之河之 水尾速 生多米難 石枕 蘿生左右二 新夜乃 好去通牟 事計 夢尓令見社 劔刀 齋祭 神二師座者

作者

不明

よみ

飛鳥川 撮影(2014.05) by きょう

葦原(あしはら)の、瑞穂(みずほ)の国に、手向(たむ)けすと、天降(あも)りましけむ、五百万(いほよろづ)、千万神(ちよろづかみ)の、神代(かむよ)より、言ひ継(つ)ぎ来(きた)る、神なびの、みもろの山は、されば、春霞(はるかすみ)立つ、行けば、紅(くれなゐ)にほふ、神なびの、みもろの神の、帯(お)ばせる、明日香(あすか)の川の 水脈(みを)早み、生(む)しためかたき、石枕(いしまくら)、苔(こけ)生(む)すまでに、新夜(あらたよ)の、幸(さき)く通(かよ)はむ 事計(ことはか)り、夢(いめ)に見せこそ、剣太刀(つるぎたち)、斎(いは)ひ祭(まつ)れる、神にしませば

意味

苔 撮影(2015.04) by きょう

瑞穂の国に捧げものをしようと、天から降りてらした多くの神々の神代から言い伝えられてきた、神なびのみもろの山は、になると春霞が立ち、になると紅葉が美しくなります。

みもろの山のそばを流れている明日香川の水の流れが速くてなかなか苔(こけ)が生えない、その川の石枕に苔(こけ)が生える時まで長くすこやかに通えるようにお計らいください。夢でお見せください。大切にお祭りしてきた神々ですから。

補足

「葦原の」は「瑞穂の国」を導く枕詞(まくらことば)です。「瑞穂の国」は「瑞々(みずみず)しい稲穂の国」の意味で日本のことを表しています。

「神なびのみもろの山」がどこかということについては、雷丘(いかづちのおか)だという説を含めて、いくつかの説があるそうです。

「剣太刀(つるぎたち)」は「斎(いは)ひ」を導く枕詞(まくらことば)です。

更新日: 2015年10月18日(日)