第十三巻 : 物思はず道行く行くも青山を
2001年7月1日(日)更新 |
原文: 物不念 路行去裳 青山乎 振酒見者 都追慈花 尓太遥越賣 作樂花 佐可遥越賣 汝乎叙母 吾尓依云 吾乎叙物 汝尓依云 汝者如何念也 念社 歳八年乎 斬髪 与知子乎過 橘之 末枝乎須具里 此川之 下母長久 汝心待 作者: 柿本人麻呂(かきのもとひとまろ)歌集より よみ: 物(もの)思(も)はず、道行く行くも、青山(あをやま)を、振り放(さ)け見れば、つつじ花、にほえ娘子(をとめ)、桜花(さくらばな)、栄え娘子(をとめ)、汝(な)れをぞも、我れに寄すといふ、我れをぞも、汝(な)れに寄すといふ、汝(な)はいかに思ふや、思へこそ、年の八年(やとせ)を、切り髪(かみ)の、よち子を過ぎ、橘(たちばな)の、ほつ枝(え)をすぐり、この川の、下にも長く、汝(な)が心待て |
意味: 物思いせずに道を歩いて、草木の繁った山を仰いで見ると、そこに咲いているツツジのようにきれいな君、桜のように美しい盛りの君。(花たちは)君が私に心を寄せているって言っているようです。私も君に心を寄せているっていっているようです。。。君はどう思う? 思えば切り髪(かみ)だった小さな頃から橘(たちばな)のほつ枝(え)に届くように大きくなるまで8年も、この川のように心に長く君の心が私の方に寄せるのを待っているんです。 |
「ほつ枝(え)」は木の上の方の枝のことをいいます。 |