原文

百傳 磐余池尓 鳴鴨乎 今日耳見哉 雲隠去牟

作者

大津皇子(おおつのみこ)

よみ

百(もも)伝ふ 磐余(いわれ)の池に 鳴く鴨(かも)を 今日のみ見てや 雲(くも)隠(かく)りなむ

意味

鴨 by 写真AC

磐余(いわれ)の池に鳴く鴨(かも)を見ることも今日までか。私は、もう死ななくてはならないのだ。

・「百(もも)伝ふ」は「磐余(いわれ)」を導く語です。

・謀反の疑いで自害させられる直前に詠んだ歌とされています。

- rough meaning: It is until today that I can see the crowing duck in the pond of Iware. I have to die anymore.(He was arrested on suspicion of planning a rebellion and was forced to commit suicid.)

補足

・この歌の題詞に「大津皇子、死を被(たまはり)し時、磐余の池の陂(つつみ:堤)にして涕(なみだ)を流して作らす歌一首」とあります。

・この歌の左注に「右藤原宮(ふじはらのみや)朱鳥(あけみとり)元年(西暦686年)冬十月」とあります。

更新日: 2021年12月12日(日)