鴨(かも)
ガンカモ科のマガモ、アジカモなどを言います。体長は50センチ程度です。雄の羽色はきれいです。その多くは、秋に北からやってきて、春に帰っていきます。カルガモなどは夏でもみることができますね。
鴨(かも)を詠んだ歌
万葉歌では、多くの鴨の歌が池や葦(あし)とともに詠まれています。
0050: やすみしし我が大君高照らす日の皇子.......(長歌)
0064: 葦辺行く鴨の羽交ひに霜降りて寒き夕は大和し思ほゆ
0257: 天降りつく天の香具山霞立つ春に至れば松風に.......(長歌)
0260: 天降りつく神の香具山うち靡く春さり来れば桜花.......(長歌)
0375: 吉野なる菜摘の川の川淀に鴨ぞ鳴くなる山蔭にして
0390: 軽の池の浦廻行き廻る鴨すらに玉藻の上にひとり寝なくに
0416: 百伝ふ磐余の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ
0466: 我がやどに花ぞ咲きたるそを見れど心もゆかずはしきやし.......(長歌)
0711: 鴨鳥の遊ぶこの池に木の葉落ちて浮きたる心我が思はなくに
0726: 外に居て恋ひつつあらずは君が家の池に住むといふ鴨にあらましを
1227: 礒に立ち沖辺を見れば藻刈り舟海人漕ぎ出らし鴨翔る見ゆ
1451: 水鳥の鴨の羽色の春山のおほつかなくも思ほゆるかも
1744: 埼玉の小埼の沼に鴨ぞ羽霧るおのが尾に降り置ける霜を掃ふとにあらし
2720: 水鳥の鴨の棲む池の下樋なみいぶせき君を今日見つるかも
2806: 我妹子に恋ふれにかあらむ沖に棲む鴨の浮寝の安けくもなし
2833: 葦鴨のすだく池水溢るともまけ溝の辺に我れ越えめやも
3090: 葦辺行く鴨の羽音の音のみに聞きつつもとな恋ひわたるかも
3091: 鴨すらもおのが妻どちあさりして後るる間に恋ふといふものを
3524: まを薦の節の間近くて逢はなへば沖つま鴨の嘆きぞ我がする
3525: 水久君野に鴨の這ほのす子ろが上に言緒ろ延へていまだ寝なふも
3527: 沖に住も小鴨のもころ八尺鳥息づく妹を置きて来のかも
3570: 葦の葉に夕霧立ちて鴨が音の寒き夕し汝をば偲はむ
3625: 夕されば葦辺に騒き明け来れば沖になづさふ鴨すらも.......(長歌)
3649: 鴨じもの浮寝をすれば蜷の腸か黒き髪に露ぞ置きにける
3866: 沖つ鳥鴨とふ船の帰り来ば也良の崎守早く告げこそ
3867: 沖つ鳥鴨とふ船は也良の崎廻みて漕ぎ来と聞こえ来ぬかも
3993: 藤波は咲きて散りにき卯の花は今ぞ盛りとあしひきの.......(長歌)
4011: 大君の遠の朝廷ぞみ雪降る越と名に追へる天離る.......(長歌)
4494: 水鳥の鴨の羽の色の青馬を今日見る人は限りなしといふ