原文 Original Text
人事乎 繁美許知痛美 己世尓 未渡 朝川渡
作者 Author
但馬皇女(たじまのひめみこ) Tajima-no-Himemiko
よみ Reading
人言(ひとごと)を 繁(しげ)み言痛(こちた)み おのが世に いまだ渡らぬ 朝川(あさかは)渡る
- Hitogoto wo Shigemi kochitami Ono ga yo ni Imada wataranu Asakaha wataru.
意味 Meaning
人の噂(うわさ)がひどくて辛くても、(あの人に会うために)生まれて初めて(冷たい水の流れる)朝川を渡るのです。
・但馬皇女(たじまのひめみこ)は高市皇子(たけちのみこ)の宮に居住していたのですが、穂積皇子(ほずみのみこ)と密会していたことが人々に知られることとなりました。詳しくは、但馬皇女(たじまのひめみこ)と穂積皇子(ほずみのみこ)をご覧ください。
- rough meaning: Even though the rumors about me and him are terrible and painful, I will cross the cold morning river for the first time in my life to meet him.
補足 Notes
この歌の題詞には、「但馬皇女(たじまのひめみこ)、高市皇子(たけちのみこ)の宮に在(いま)す時、竊(ひそ)かに穂積皇子(ほずみのみこ)に接(あ)ひ、事(こと)既(すで)に形(あら)はれて作らす歌一首」とあります。
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