原文 Original Text

山振之 立儀足 山清水 酌尓雖行 道之白鳴

作者 Author

高市皇子(たけちのみこ) Takechi-no-Miko

よみ Reading

山振(やまぶき)の 立ちよそひたる山清水 くみに行かめど 道の知らなく

意味 Meaning

山吹 by 写真AC

山吹(やまぶき)の花が咲いている山の清水を汲みに行こうと思っても、道がわからないのです。

高市皇子(たけちのみこ)の異母姉にあたる十市皇女(とをちのひめみこ)が亡くなったのを悲しんだ歌です。できることなら生き返ってほしいとの願いも込められているかもしれません。山吹(やまぶき)の黄色と清水とで、黄泉(よみ)のイメージを表現しています。

- rough meaning: Even if I try to get spring water from the mountain where the flowers of Yamabuki are in bloom, I don't know the way.(Takechi-no-Miko sadden the sudden death of his sister Toochi-no-Himemiko(Princess Toochi).)

補足 Notes

・この歌を含む0156番歌の題詞には、「十市皇女(とをちのひめみこ)の薨(こう)ぜし時、高市皇子尊(たけちのみこのみこと)の作らす歌三首」とあります。

・左注には、「紀(日本書紀のこと)に曰く、(天武天皇の)七年(西暦668年)戊寅(ぼいん)の夏四月、丁亥(ていがい)の朔(ついたち)癸巳(きし)、十市皇女(とをちのひめみこ)卒然(にはか)に病(やまひ)發(おこ)りて宮の中(うち)に薨(こう)ず」とあります。亡くなった原因はわかっていませんが、一説には自害されたとのことです。

更新日: 2024年04月07日(日)