榛(はり) Hari(Japanese alder)
榛(はり)は、萩(はぎ)だという説もありますが、カバノキ科ハンノキ属の落葉高木の榛の木だという説が有力視されています。3~4月頃に葉が出る前に花をつけます。松かさのような形をした果実は、古代から黒褐色の染料として利用されてきました。
- Hari is considered as an arboreal tree of the birch family Alnus. It blooms before leaves appear around March or April. The pine-cone like fruit has been used as a blackish brown dye since ancient times.
榛(はり)を詠んだ歌
万葉集には14首に詠まれています。榛の群生地として「榛原(はりはら)」、または染料として使ったことを表して「衣に摺(す)りつ」などと詠まれている歌が多くあります。
0019: 綜麻形の林のさきのさ野榛の衣に付くなす目につく吾が背
0057: 引間野ににほふ榛原入り乱れ衣にほはせ旅のしるしに
0280: いざ子ども大和へ早く白菅の真野の榛原手折りて行かむ
0281: 白菅の真野の榛原行くさ来さ君こそ見らめ真野の榛原
1156: 住吉の遠里小野の真榛もち摺れる衣の盛り過ぎゆく
1166: いにしへにありけむ人の求めつつ衣に摺りけむ真野の榛原
1260: 時ならぬ斑の衣着欲しきか島の榛原時にあらねども
1354: 白菅の真野の榛原心ゆも思はぬ我れし衣に摺りつ
1965: 思ふ子が衣摺らむににほひこそ島の榛原秋立たずとも
3410: 伊香保ろの沿ひの榛原ねもころに奥をなかねそまさかしよかば
3435: 伊香保ろの沿ひの榛原我が衣に着きよらしもよひたへと思へば
3791: みどり子の若子髪にはたらちし母に抱かえ.......(長歌)
3801: 住吉の岸野の榛ににほふれどにほはぬ我れやにほひて居らむ
4207: ここにしてそがひに見ゆる我が背子が.......(長歌)