縵児(かづらこ) Kazurako

イラスト by 中原さま

昔、三人の男が居て三人とも一人の女性に求婚しました。娘さんが嘆いて「私一人の女の身は消えやすい露のようなものですが、三人の男の人の心を和らげないないことは石のようなものです。」と言いました。ついには池のほとりにたたずんで、水底に身を沈めてしまいました。その時、三人の男たちはあまりの悲しさに堪えず、それぞれ思いを述べて作った歌です。その娘さんは縵児(かづらこ)と呼ばれていました。

- Once upon a time, there were three men and all three proposed to the one maiden. She lamented, "I'm just a woman disappear soon like dew, and it's hard to soothe the hearts of three men." Finally, she stood by the pond and sank to the bottom of the water. The three men who knew that couldn't stand the sadness, and they each made poem expressing their thoughts. The maiden was called Kazurako(beautiful maiden like a kazura).

[ 題詞 ]

或るひとの曰(いは)く 昔、三(みたり)の男有り 同(ひと)しく一(ひとり)の女を娉(よば)ふ 娘子(をとめ)嘆息(なげか)ひて曰く 「一の女の身の滅(け)易(やす)きこと露(つゆ)の如く 三の雄(をのこ)の志(こころ)の平(やは)し難きことは石の如く」といふ。 遂に乃(すなは)ち池の上に彷徨(たたず)み水底(みなそこ)に沈み没(い)りぬ ここに其の壮士等(をとこども) 哀頽(かなしび)の至りに勝(あ)へず 各(おのおの)所心を陳べて作る歌三首 [娘子(をとめ)は字(あざな)を蘰兒(かづらこ)と曰ふ]

3788: 耳成の池し恨めし我妹子が来つつ潜かば水は涸れなむ

3789: あしひきの山縵の子今日行くと我れに告げせば帰り来ましを

3790: あしひきの玉縵の子今日のごといづれの隈を見つつ来にけむ

補足

彼女が身を投げた池は、耳無の池です。

更新日: 2021年10月10日(日)