初瀬(はつせ)
初瀬は、現在の奈良県桜井市初瀬(はせ)~朝倉台西付近を指します。長谷寺があることで有名です。古代、初瀬(泊瀬)は神聖な禊(みそぎ)の場と考えられていました。
「隠口(こもりく)の泊瀬(はつせ)」と万葉歌に詠まれているように、山々に囲まれた静かなところです。
初瀬(はつせ)を詠んだ歌
万葉集には「泊瀬」と書かれています。「隠口(こもりく)の泊瀬」と、枕詞(まくらことば)とともに詠まれている歌も多くあります。
0045: やすみしし我が大君高照らす日の皇子.......(長歌)
0282: つのさはふ磐余も過ぎず泊瀬山いつかも越えむ夜は更けにつつ
0425: 川風の寒き泊瀬を嘆きつつ君が歩くに似る人も逢へや
0428: こもりくの初瀬の山の山の際にいさよふ雲は妹にかもあらむ
0912: 泊瀬女の造る木綿花み吉野の滝の水沫に咲きにけらずや
1095: 三諸つく三輪山見れば隠口の泊瀬の桧原思ほゆるかも
1270: こもりくの泊瀬の山に照る月は満ち欠けしけり人の常なき
1407: 隠口の泊瀬の山に霞立ちたなびく雲は妹にかもあらむ
1408: たはことかおよづれことかこもりくの泊瀬の山に廬りせりといふ
1593: 隠口の泊瀬の山は色づきぬ時雨の雨は降りにけらしも
2261: 泊瀬風かく吹く宵はいつまでか衣片敷き我がひとり寝む
2347: 海人小舟泊瀬の山に降る雪の日長く恋ひし君が音ぞする
2353: 泊瀬の斎槻が下に我が隠せる妻あかねさし照れる月夜に人見てむかも
2511: こもりくの豊泊瀬道は常滑のかしこき道ぞ恋ふらくはゆめ
3310: 隠口の泊瀬の国にさよばひに我が来れば.......(長歌)
3311: 隠口の泊瀬小国に妻しあれば石は踏めどもなほし来にけり
3312: 隠口の泊瀬小国によばひせす我が天皇よ.......(長歌)
3331: 隠口の泊瀬の山青旗の忍坂の山は走出の.......(長歌)
386: 事しあらば小泊瀬山の石城にも隠らばともにな思ひそ我が背