原文 Original Text
青丹余之 奈良能美夜古波 布里奴礼登 毛等保登等藝須 不鳴安良奈久尓
作者 Author
大伴家持(おおとものやかもち) Otomo-no-Yakamochi
よみ Reading
あをによし 奈良の都は 古(ふ)りぬれど もと霍公鳥(ほととぎす) 鳴かずあらなくに
- Awoniyoshi Nara-no-miyako ha Furi nuredo Moto hototogisu Nakazu aranaku-ni.
意味 Meaning
奈良の都は古びてしまいましたが、昔からなじんでいた霍公鳥(ほととぎす)が鳴いています。
・「あをによし」は奈良を導く枕詞(まくらことば)です。
・天平十六年(西暦740年)に聖武天皇(しょうむてんのう)により恭仁京(くにのみやこ)へ遷都がなされています。(その後、難波宮へ。)
- rough meaning: Although the capital of Nara has become old, the familiar Hototogisu is still chirping.(Four years ago, the capital was moved to Kuni-no-miyako, and the capital of Nara has deserted.)
補足 Notes
この歌を含む3916番歌の題詞には「十六年(西暦744年)四月五日、獨(ひと)り平城(なら)の故宅(もとついへ:旧宅)に居(を)りて作る歌六首」とあります。また、これら六首の最後の3921番歌の左注には「右六首の歌、天平十六年(西暦744年)四月五日、獨(ひと)り於平城(なら)の故郷の舊宅(きゅうたく)に居(を)りて大伴宿祢家持(おおとものすくねやかもち)作る。」とあります。
- 6 poems(no.3916 - 3921) including this poem were composed by Otomo-no-Yakamochi when he returned to his former residence in the capital of Nara.