第三巻 : つのさはふ磐余の道を朝さらず

2010年01月03日(日)更新


原文: 角障經 石村之道乎 朝不離 将歸人乃 念乍 通計萬口波 霍公鳥 鳴五月者 菖蒲 花橘乎 玉尓貫 蘰尓将為登 九月能 四具礼能時者 黄葉乎 折挿頭跡 延葛乃 弥遠永 萬世尓 不絶等念而 将通 君乎婆明日従 外尓可聞見牟

作者: 山前王(やまさきのおほきみ)

よみ: つのさはふ、磐余(いはれ)の道を、朝さらず、行(ゆ)きけむ人の、思ひつつ、通(かよ)ひけまくは、霍公鳥(ほととぎす)、鳴く五月(さつき)には、あやめぐさ、花橘(はなたちばな)を、玉に貫(ぬ)き、かづらにせむと、九月(ながつき)の、しぐれの時は、黄葉(もみちば)を、折りかざさむと、延(は)ふ葛(くず)の、いや遠(とほ)長く、万代(よろずよ)に、絶(た)えじと思ひて、通(かよ)ひけむ、君をば明日(あす)ゆ、外(よそ)にかも見む

意味: 磐余(いはれ)の道を朝毎に、(女性の元に)通いながら思われたことは。。。霍公鳥(ほととぎす)が鳴く五月には、あやめぐさ花橘(はなたちばな)を、鬘(かづら)にしようと。そして九月のしぐれの時には、黄葉(もみちば)を折って髪飾りに、葛(くず)のようにいつまでも絶えることなく通おうと。。。。でも、あなた様を明日からは、あの世の人としてみることでしょう。

撮影(2003.03.08) by きょう

石田王(いしだのおほきみ)が亡くなった時に山前王(やまさきのおほきみ)が哀しんで詠んだ歌です。

「つのさはふ」は、「いは」を導く枕詞(まくらことば)で、磐余(いはれ)を導いています。


第三巻